その書体で組まれた文章は、全然美しくないかもしれない。その書体で組まれた文章は、全然読めないかもしれない。
デジタル入力機器が新たな筆記具としての存在感を増す昨今、デバイスに依存した機械的に選択された書体で、今まで手書きであった部分を置換ることはできない。現代を生きる私たちには手書きに代わる自分の書体、現代書字に必要な自分自身の文字を手にいれるべきである。
私達は四六時中文字に囲まれ、文字に頼り、文字を操り生活している。自分の周辺を見渡せば限りなく目に飛び込んでくる文字に一部には何かを感じて、一部では全く何も感じずにただ通りすぎていく。文字は無差別に情報を吐き出し続け、意識のある受け手には情報を、意識のない受け手には無に変化し、その文字の変換方法を知らない受け手にはパターンや記号として存在する。受け手も変化し、文字も変化を繰り替えして存在している。
「絶影漢字」とは私のフォントという形を借りた漢字に対する解釈であり、「絶影書体」とはあらゆる文字・書体に対する機能の側面にある文字自体の形状の解釈である。文字機能への著しい踏み込んだ解釈により、それらが損なわれたとしても大きな意味を持つ問題ではない。意味や理由を考える前に視覚で感じ、身体で感じるべきである。そして脳で変換するのである。(1997.12)
絶影は単なるデジタルフォントの一書体ではなく、漢字あるいは世界に存在する全ての文字自身のフォーマットになり得るまでに進化を遂げるべく一歩を踏み出している。我々にとって文字とは自らを雄弁に語る言葉である。
貴方はワープロで文章を打つときやHPのタイトルで使用する書体についてよく悩みますか?勿論、案内状や注意書きなど不特定多数に垂れ流す情報には、相応しい書体というものがあるでしょう。可読性に優れ、普遍的で、機能的な書体でしょう。しかし、私達には自分の考えを訴え、何かを伝えなくてはいけない場面がよくあります。手書きの文字には文字情報以外の多くの個人的情報が溢れています。デジタルフォントの使用は、その個人情報の多くを無くすことにより、普遍性を手に入れたのです。コンピュータでの文字入力が全盛の今、今まで手書きであった部分をそのような書体に置換することはできない。デジタル入力時代には手書きに代わる自分の文字。つまり自分自身唯一の文字が必要なのである。
ブ厚い装甲を脱ぎ捨てて街へ出よう。
夏衣だけを身に着けて、
君の夏衣は君に相応しいのか?
君の胸には何て書いてあるんだ?
君の背中は何を訴えるのか。
無関係な貴方との図案。
何を着て街へでるか、
貴方の夏衣を手に入れろ。
「絶影夏衣 id2」限定生産(B級)
日をおうごとに、私は失いつつあるのだろうか。体力、知識、経験や想像力などの資源を。夜な夜なそれらを消費して文字を書く。まさに書字エンジン
私たちは現代社会に存在する無臭の冷たい都市から飛び出さねばならない。それは自分自身の中に都市を築くことである。まるで若者が純粋に憧れ希望を持って向かってゆく光り輝く都市を。そして外見だけ華やかな都市でなく、調和と均整のとれた都市に発展させるのである。その輝きは他人にも憧れを呼び起こし、また彼にも心に都市を築くきっかけに成り得るのである。都市は都市と結ばれ、交流を持ち、お互い競い、更に都市を拡大するのである。輝ける都市は何処からでも築き始めることが出来るのである。
と言われたので築きました。
City organs/B2/ポスター
東京は駅の名前だけで区切られているわけではないのです。全ての土地には名前があり、名前のない土地などないのです。それは便宜上の区分かもしれませんが、確かに以前その場所でその何由来するような出来事や人が存在したのです。
PCやワープロで文章を作成する機会が増えてきた昨今、クリックひとつで様々な書体を選ぶことができる「デジタルフォント」は非常に便利なものです。しかし欠点もあります。それはPC上でしか使用することができないということです。手紙を書くにしてもまずはPC起動し、ワープロで作成した上でプリンタ出力という出順をふまなくてはいけません。
私たちは多くの時間、PCと離れて生活している場合の方が多いのです。そんな人生の大部分の時間にも、このような便利なフォントを使用できればと思わないでしょうか?もちろん温かみのある手書きも大切ですが、整然とした美しいフォントは時と場合によっては必要になるものなのです。 他の場合を考えて見ましょう。例えば「停電でPCが起動できない」、「パソコンのパの字も知らない」、「旅先で手ぶらだ」、「会議中で予断を許さない」、他にも「うちのPCに素敵なフォントが入っていない」など様々な場面が想像できます。
そんなとき、こんなフォントはいかがでしょうか?身近にある四角いものを探してください。角砂糖でもサイコロ、CDケースや百科事典でも。あとは積むだけなのです。これで私たちはPCという呪縛から解き放たれ、どんな場所でも自由に「このフォント」を使用することができるのです。授業中だろうが、会議中だろうが、散歩中だろうが、無人島だろが、逃走中だろうが、いつもよりちょっとだけ「立方体」をポケットに忍ばせるだけなのです。もちろん現地調達でも構いません。
「Build the word / anywhere you like」
→「build the word」の詳細 (PDF/36KB)